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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第12章 不安になる

朝起きて洗面所で鏡を見たら、肌がつやつやだった。



「はあ…すっきり」



志桜さんとの久しぶりの行為に夢中になって、何度も絶頂を迎えて、いつの間にか意識が途切れて。



目が覚めたら彼の腕の中だった。



「しあわせだ」



起きたとき、本当にそう思った。



これが恋なのか、単に欲求が発散できたからよかったのか。



…わからない。



「あたし、ダメダメだな」



志桜さんと付き合うということを考えてみる。



彼はとても優しいし、すごく幸せだろうなって。



思う、けど…



彼の命にはタイムリミットがある。



これ以上彼にどっぷり嵌って溺れてしまったら…



好きになってしまったら…



愛してしまったら…



あたしは彼を失ったとき、生きていけるだろうか。



きっとそれだ。



あたしが恐れていることは。



―君を束縛する時間はそう長くない―



志桜さんは前にそう言った。



あのとき、そんなの嫌だなあって単純にそう思ったけど…



今は、それがすごく、怖い。



だから考えないようにしている。



「どうしてかな…」



どうして、あたしの大切な人たちはみんないなくなってしまうんだろう。



あたし、呪われているのかな。



「ダメダメ。そんなこと考えちゃ…」



首をぶんぶん横に振っていると背後から声をかけられた。



「どけよ。顔洗いたいんだけど?」



「あ…悠樹くん」



寝起きで機嫌が悪そう。





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