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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第12章 不安になる

それは日曜日のこと。



大神家に綺麗な女性が訪れた。



杉林美鶴さんという大病院のご息女だった。



ダイニングテーブルに杉林家の当主と美鶴さん、そして志桜さんとおじさまが向かい合って座った。



あたしと悠樹くんは端っこに並んで座った。



「いやあ、こんなに美しいお嬢さんに育っておいでとは、素晴らしい。このご縁は大切にしますぞ」



おじさんはお酒を飲んでいるせいか、とてもご機嫌だ。



お料理はアワビとか、フォアグラとか、牛肉のステーキとか。



めずらしいものばかりだったけど、あたしはあまり味を感じなかった。



それどころじゃなくて…



美鶴さんの顔ばかり覗っている。



綺麗な人だなあって思う。



大人の女性だ。



あたしは自分が子供っぽくてイヤになるくらい。



あ、やだ…



あたし…



嫉妬してる。



志桜さんと美鶴さんなんて、名前まで似合ってるし。



ふたりが結婚することをお屋敷の皆は喜んでいるし、この空気を壊しちゃいけないんだってわかってるけど。



あたしは喜べない。



食事のあと、志桜さんは美鶴さんにお屋敷に案内してあげていた。



おじさまに言われたからだけど。



あたしは、モヤモヤしていた。



いつか、美鶴さんがここに住むことになるのかな。



そんなの、イヤだなあって。





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