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ズキ、と胸が痛くなった。



わかってる、ことだけど…



「志桜さん、そんなに悪いの？」



あたしは不安になって彼に訊ねた。



すると彼はあたしから目を逸らした。



「医師から告げられた余命はとうに超えてる。次に発作が起こったらどうなるかわからない。ギリギリで繋いでいるんだよ」



そんな…



どうしたら…



どうしたら志桜さんは助かるの？



「やだ…そんなの、やだよ…」



志桜さんがあたしの背中に手をまわして抱き寄せた。



「優依…僕は君に会えただけで十分だ。これ以上何も望まない。僕のワガママに答えてくれた君に感謝してる」



なんで…



どうして…



別れ話になってるの？



「志桜さん、責任とってくれるって言ったよね？あたしに大人のコトいっぱい教えてくれるって。あたし、許さない」



あたしは涙をこらえて彼を見つめた。



「生きてくれなきゃ、絶対許さないから」



志桜さんはあたしをぎゅっと抱きしめる。



その手はとても大きくて、あたたかいのに…



失いたくない。



「結婚相手は父が勝手に決めたことだから、次に本人に会ったらきちんと断るつもりだよ」



「そう、なんだ…」



いやだ、あたし…



安心してる。



あたしは志桜さんの背中に手をまわして抱きついた。



どこにもいかないで。



神さま、どうかあたしからこれ以上奪わないで。