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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第12章 不安になる

ど、どうしよ…



聞かれてた…



「あ、の…あたしは…」



「こんな子供みたいな女がいいの?大神くんは」



「そん、な…」



「あたしは、こんな子供に劣るというの?」



「ちが…」



「嫌よ!あたし絶対に諦めない!」



美鶴さんはあたしを睨んだ後、錯乱状態で髪を振り回しながら立ち去った。



どうしよう…



バレちゃった。



よりによって一番知られたくない人に!



一人きりになったからって油断していた。



「だって…ほんとは…」



好きなんだもん。



あたしだって好きだもん。



本当は本人に言いたかったのに…



あたしは出ていくにいけなくなって、しばらく洗面所に閉じこもった。



結局、あたしがついた嘘を志桜さんは公言しなかった。



てっきり悠樹くんから何か言われると思ったけど、彼は何も知らないみたいだった。



少しほっとした。



それから美鶴さんはずっとお屋敷に居座った。



志桜さんはまったく相手にしていないようで、美鶴さんはお屋敷の使用人さんたちに八つ当たりした。



この家の雰囲気が悪くなり、悠樹くんの機嫌もかなり悪かった。



学校へ行くとき、悠樹くんがあたしに愚痴った。



「くっそー。さっさと出ていってくんねえかな。あの女」



「うん」



あたしもとなりで頷いた。



家の空気が悪い。



せっかく楽しく暮らせそうだったのに…



なんでこうなっちゃったんだろ。



志桜さんと悠樹くんとまた三人でお出かけしたいな。



志桜さんと二人きりでもいいけど…



だけど、そんな願いが叶うはずなかった。








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