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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第14章 幸せ

「優依がいると長生きできる気がするなあ」



ドキッ…



「あ、当たり前だよ。だって、あたしたちまだまだ若いんだから。おじいちゃんおばあちゃんになるまで、ずっと一緒にいるんだから!」



あたしは志桜さんに抱きついて叫んだ。



彼があたしの頭を撫でる。



「結婚式はどうする?」



「え?」



「さっきのホテルがいい?」



「で、でも…あたし、招待できるお友だちが…」



「じゃ、どこか静かな田舎町の教会で、ふたりきりでしよっか」



「志桜さんはいいの?」



「僕は優依が幸せなら何でもいいよ」



「あたしは志桜さんの幸せも考えたい」



「僕は幸せだよ。君がそばにいるだけで」



志桜さんはあたしを抱きしめたまま、あたしの頬や額にたくさんキスをする。



「あたしも」



結婚式とか憧れていたけど、



今はそんなことよりも、



愛する人と一緒にいるほうがいい。



「志桜さん、ずっと一緒にいて」



「うん。ずっと一緒にいる」



あたしたちはまた、長いキスをした。



あたしはよくわかっていなかった。



志桜さんと結婚するということが、



どんなに大変なことか。



彼は大神家の跡取りなのだから。



あたしみたいな何も持っていない娘が、



彼と結婚なんてできるわけがなかった。










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