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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第18章 あたしたちの未来

半年後…



志桜さんはリハビリを終えて、ようやく家に帰ってきた。



まだ車椅子だけど、彼は少しずつ歩くようにしている。



りゅうちゃんは7カ月になって、すごく元気。



目を離したら何をするか分からないからちょっと心配。



だけど、志桜さんと一緒にいるとりゅうちゃんは嬉しそうなの。



やっとパパだって分かってきたのかな。



志桜さんはあんまり話をしない。



元々口数の少ない人だったけど、意識が戻ってから別人みたいに静かになった。



だけど、彼はずっと笑顔。



あたしは彼といられることの幸せを感じていたけど、



やっぱり毎日が不安で…



志桜さんがまた倒れたりするかもしれない。



今度こそ、あたしたちの前から消えてしまうかもしれない。



そんなことを考えたって仕方ないのに、



あたしは不安だった。



ある日、志桜さんはずいぶん体調がいいのか、あたしと二人で散歩がしたいと言った。



三坂さんと使用人の女性が見ててくれるって言うから、



あたしたちは久しぶりに二人きりで出かけた。



晴れて暖かい日、風も爽やかで気持ちよかった。



「志桜さん、歩いて大丈夫なの?」



「うん、平気」



彼は穏やかに微笑んだ。






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