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でも、愛してるの

第1章 でも、愛してるの

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 そうなのです。
 清さんはこんなふうに、突然エッチなことを言います。
 でも、ポンと言うだけで、そのあと下ネタに流れることはありません。
 そしてその言いかたも、
 「萌絵ちゃんは」
 とか、
 「萌絵ちゃんが」
 と、わたしをもとにしたものなのです。
 それは、愛しあうときも、一緒です。
 わたしが気持ちよくなるようにと、愛してくれるのです。
 わたしが、清さんと愛しあうようになったのは、清さんの「セックス論」を聞いたときからです。
 人類が、子どもを産むためのものであったセックスから、楽しむためのセックスを発見してからずっと、セックスは、女性が気持ちよくなるためのものだった、と言うのです。
 その証拠に、女性には、快感を得るためだけに存在する、クリトリスがあると言います。
 それなのに、いま多くの人がしているセックスは、男性が射精するのが目的となっているみたいで、間違っていると言うのです。
 だけどそれは、階級がうまれ男性優位の社会になってからの、たかだか数千年くらいのもので、人類の二十万年という歴史からみたら、ほんとに短いので、いずれ、セックスは、女性が気持ちよくなるためのものに帰っていく、とも言うのです。
 そして、セックスは、したいと思ったときにすればいいのであって、いろいろな理由をつけて、我慢してしまういまのセックス観は、間違っていると言うのです。

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