ぼっち─選択はあなたに─
第5章 ソルトの町【選択3】
洞窟を抜けた先は青々とした草原が広がっていた。分かれ道があり、右に行くと崖の上に立つ城に辿り着く。
「あの城、モンブラン城っていうんだけど、半年前は栄えていたんだ。俺らのソルトの町とも交流があった。でも突然次々と人がいなくなって、今は廃墟になってる。噂ではみんなシャドーに食べられたんじゃないかって話」
バットが嘆きの城について説明する。
それを聞きながらヒカルは崖の上に立つ城をジッと眺めてみた。するとなんとなく、行方不明になった人々たちの嘆きの声が聴こえてくるように感じた。
「ヒカルにも何か聴こえたみたいだな」
ヒカルの怯えた表情を察してクロードが言い放つ。
「だから嘆きの城と呼ばれてる」
ヒカルは納得した。
もし何も知らずに城に向かっていたら、今ごろ自分はどうなっていたか……町においでと強引に誘ってくれたバットに感謝しなければ……。
でもそんな危険な場所で二人は何をしていたんだろう。あの自分を襲ってきたシャドーの声は「カルビの声」だと言っていた。
カルビはどうしてあの場所に?
聞きたいことは沢山あったが、その前に町に着いてしまった。
ヒカルは石畳の通りを歩きながら、中世のヨーロッパ風の町並みを眺めた。今日はお祭りでもあるのかと思うくらい出店が出ており、美味しそうな匂いにお腹が鳴りそうになった。
「クロード! バット!」
ひとりの女性が人々の合間をぬって、こっちに走ってくる。
「良かった、無事でっ……おかえりなさい!」
女性は満面の笑みでクロードとバットを出迎えた。
「あの城、モンブラン城っていうんだけど、半年前は栄えていたんだ。俺らのソルトの町とも交流があった。でも突然次々と人がいなくなって、今は廃墟になってる。噂ではみんなシャドーに食べられたんじゃないかって話」
バットが嘆きの城について説明する。
それを聞きながらヒカルは崖の上に立つ城をジッと眺めてみた。するとなんとなく、行方不明になった人々たちの嘆きの声が聴こえてくるように感じた。
「ヒカルにも何か聴こえたみたいだな」
ヒカルの怯えた表情を察してクロードが言い放つ。
「だから嘆きの城と呼ばれてる」
ヒカルは納得した。
もし何も知らずに城に向かっていたら、今ごろ自分はどうなっていたか……町においでと強引に誘ってくれたバットに感謝しなければ……。
でもそんな危険な場所で二人は何をしていたんだろう。あの自分を襲ってきたシャドーの声は「カルビの声」だと言っていた。
カルビはどうしてあの場所に?
聞きたいことは沢山あったが、その前に町に着いてしまった。
ヒカルは石畳の通りを歩きながら、中世のヨーロッパ風の町並みを眺めた。今日はお祭りでもあるのかと思うくらい出店が出ており、美味しそうな匂いにお腹が鳴りそうになった。
「クロード! バット!」
ひとりの女性が人々の合間をぬって、こっちに走ってくる。
「良かった、無事でっ……おかえりなさい!」
女性は満面の笑みでクロードとバットを出迎えた。