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ぼっち─選択はあなたに─

第28章 魂の世界

「くっ……」

 盗賊たちの姿が見えなくなると、ヤクモはよろめいて片膝をついた。

「ヤクモさんっ!」
「申し訳ございません、ヒカル様っ……」

 ヤクモはヒカルを守れなかったことに不甲斐なさを感じていた。盗賊たちが現れなかったらどうなっていたか……。

「じっとしててください、今治しますから……」

 ヒカルは両手をヤクモの体にかざす。
 すると緑色の光がヤクモの体を包み込んだ。

「……申し訳ございません……」

 マナミからの攻撃を受けた傷も治り、ヤクモの体力は回復した。

「ヤクモさん、謝らないでください」
「ヒカル様……」
「あなたがいなくなったら、リュージンが悲しむと思うんです……」
「!」
「きっとリュージンにとってヤクモさんは、自分を理解してくれる唯一の存在だと思うから……」
「……っ……」
「だから、生きてほしいって……」

 ヒカルの言葉にヤクモは胸を打つ。

「……私は、私をこんな身体にしたガトーにいつか復讐したいと思っていました。だからちょうど今がその時だと思って……」
「……」
「でもきっと、殿下にも言われそうですね。勝手にオレを置いていくな、と」
「そうですね」

 リュージンが怒る姿を想像して切なく微笑むヒカルを見て、ヤクモは優しく微笑んだ。

「あなたならきっと……」
「え?」
「いえ、いつかあなたをラザニーア城へご案内致します」
「……はい、楽しみにしています」


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