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お酒とオールバックに溺れる夜

第3章 第3酒 -キスの味-

「これ以上続けたら、本当に抱きそう...」

色気のある重低音の声で、
耳元でそう囁くと、

純さんは私から離れ
Tシャツを着てしまった。

「そんな名残惜しそうな顔するな...

バーカ笑」

実際に
キスのその先を
想像してしまっていた私は、

心を見透かされたようで、
顔から火が出そうなほど
恥ずかしかった。

そして、
純さんはフッと微かな笑みを浮かべて、
私のおでこに
デコピンを放ってきたのだ。

「いたっ!!」

おでこを押さえて痛がる私を見て、
純さんは笑いながら、

「飯食ったら帰れよ」

と部屋を出てしまった。

残された私はというと、
額に手を当てながら
ニヤけてしまっている。

それと同時に、
純さんに与えられるものなら、

痛みさえ嬉しいと感じている
自分は重症だと思った。

そして...
これは、
この気持ちは、恋だと悟った。

今まで味わったことのない感情。

隠しようのない
初めての気持ちだった。

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