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お酒とオールバックに溺れる夜

第25章 第25酒 -カクテルの味-

薫さんと純さんが
別れたことは
孝哉さんから教えてもらった。

あの雨の日の
純さんの言葉がずっと

耳にこびりついて
離れないままでいる。

雨音と
純さんの低音の声が
頭の中で
壊れたオルゴールのように
リフレインする

「お前がいないと、苦しい」

私は、
助けを求めてきた純さんを
突き放した。

二人が出した答えに
何を言うことも出来ないけれど

純さんの手を離した私に
彼を好きだと言う、
資格はない。

今さら
純さんに会いに行く
勇気さえない。

けど
あの言葉の意味が知りたい。

純さんは、私のこと好きなの?
息抜きをするためだけの、気休め?
身体だけの関係?

それとも本当に
泣くほどに私を求めていたの?

でも

もう、今さら
そんなこと考えたって
何の意味があると言うのだろうか?

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