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お酒とオールバックに溺れる夜

第26章 第26酒 -愛の味-

深呼吸をして
純さんのお店のドアを開けた

「いらっしゃ...」

視線がぶつかって
息が止まりそうなほど

心臓が跳ねた。

「こんばんは...」

「久しぶり...」

純さんの声に
泣いてしまいそうになる

他のお客様がいなければ

今すぐにでも
その胸に
飛び込むことを
我慢できなかっただろう。

私はその想いを必死に抑えて
かつての定位置だった
懐かしいカウンター席に座る

「なんか、
やっぱり、そこは...
お前の席って感じだな...」

「純さん...」

その一言で...
ただその一言で

私は、
来て良かったのだと
言われた気がして

緊張の糸が解れた

私は
懐かしい常連さんとの再会に
話しに花が咲き

その輪には
もちろん純さんがいて

孝哉さんや勇気さんもいて

みんなが笑って
話しているのが
とても幸せに感じた。

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