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お酒とオールバックに溺れる夜

第5章 第5酒 -夜世界の味-

私は居ても立ってもいられず、
親友と呼べる唯一の友達、
由衣ちゃんに電話をかけて、

捲し立てるように
この2日間の出来事を話した。

興奮気味に話す私の話を、
静かに聞いていた由衣ちゃんからの言葉は、
「おめでとう」の一言だった。

本音を言うと、
バーのマスターなんか辞めとけって、
反対されると思っていたのだ。

遊ばれて終わりだとか、
お金取られて終わりだとか
文句を言われても、
まぁ、
今さら止められないのだけれども。

でも、否定をせずに
応援してくれたことに
驚きを隠せなかった。

きっと、
由衣ちゃんは私のことを
すごく心配してくれていたのだと思う。

そのことがしみじみと
伝わってきて
心がじんわりと暖かくなった。

「由衣ちゃん、ありがとう」

「うん、とりあえず、
夜の世界について
少しは知っとかないとね...

ママに話しておくから、
明日、家においでよ!」

翌日、
私は由衣ちゃんが住んでいる
タワーマンションの
最上階に来ていた。

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