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愛がはじまる

第1章 愛がはじまる

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 でもなにかの拍子に、満さんのあれがわたしの足に触れることがありましたが、そのとき、満さんのあれが大きく固くなっているのがわかり、すこし慌てました。
 それでも、満さんは、優しく話をしてくれるだけでした。
 わたしは、なんだか、母に抱かれて、子守歌を聞いているような気分になりました。
 満さんが、男があれを大きく固くして隣にいるのに、母に抱かれていると思うのは、おかしな気分だけど…
 それだけ、わたしが、満さんを信頼しはじめたということなのでしょう。
 いつ、眠ってしまったのかわからなくて、気がついたら朝でした。
 わたしが、慌てて起きようとしましたら、満さんは、
 「きょうは
  休みでしょう」
 と言い、
 「こっちに
  いらっしゃい」
 と言いながら、抱いてくれました。
 優しく抱いてくれながら、
 「もうすこし
  眠ったらいいですよ
  眠って
  彼のことは
  忘れなさい」
 わたしは、満さんの胸に顔をうずめて、しくしく泣きだしていました。
 悲しかったのではありません。
 満さんの優しさが、嬉しいからです。
 その日から、わたしは、彼のことは忘れました。
 そして、わたしの心のなかに、満さんが住みだしました。
 あの晩の、満さんの優しさが、ほんとにほんとに嬉しかったのです。
 だから、思わず、泣いてしまったのです。

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