新・Beast〜獣たちに好かれた僕〜
第18章 死神2
父親「…さっきな……永山に会った。」
亮「永山って…親父の…?」
永山という男は、親父を裏切って借金をトンズラした男。
母親「嘘…何処で会ったの?!」
父親「会社の近くにコンビニがあって…そこで…」
翠「どうして…何でここに…?」
父親「しばらくあいつと話しててな…」
亮「話って…何しゃべっとったん?!」
父親「…これ……」
母親「これって…まさか……」
父親「借用書や…」
亮「借用書…?」
父親「あいつ…俺が肩代わりしてた借金…金全額返済したんやって…」
母親「それ…ほんまやの…?」
父親「あぁ…今は東京で工場で働きながら一人で暮らしてるらしいわ…」
母親「一人って…奥さんや子どもは…?」
父親「迷惑かけたからって…離婚したらしいわ…」
亮「……。」
父親「まぁでも!この借用書があるってことは…俺達はもう…あの苦しみを味わうことはなくなったってことや!」
翠「じゃあ…もう借金取りは来おへんの…?」
父親「あぁ!」
母親「ゔっ…ぐすっ…!!」
亮「母さん……」
母親「ゔぅっ…!!」
父親「ごめんな…お前には一番迷惑かけたな…!!」
母親「あんた…!!」
翠「ぐすっ…うわぁぁーん!!」
父親「ごめんな…翠…亮…!!」
亮「…っ!!」
家族全員が泣き崩れた。
俺も…姉貴も…母さんも…親父も…
あの恐怖から解放されたと思うと…一気に気持ちが楽になった。
思わぬ出会いが家族の幸せを運んでくれた。