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美しい狼~その牙で骨まで食べ尽くされたい~

第16章 さ迷う羊

「爺...
夏目を連れて行け」

「ありがとうございます。」

爺が夏目をシーツでくるんで
一緒に出て行った

俺は
クズ野郎だ

本当にこれじゃあ
ただのガキと同じだ

夏目が欲しくて
欲しくて

怖くなって
遠ざけた

アイツから来るわけなど
無いのに

嫉妬して俺にすがりつくなんて
何を期待していたのか

アイツを遠ざけたのは
俺自身なのに

夏目が本当に離れていきそうになると
何も考えられなくなった

夏目が光太郎に笑いかける度

話しながら
触れ合っているのを見る度

嫉妬で狂いそうになってたのは
俺の方だったんだ

夏目を傷つけるのも
笑わせるのも
俺だけでいい。

俺だけを
見ていて欲しいんだ。

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