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美しい狼~その牙で骨まで食べ尽くされたい~

第8章 遠吠え

藤沢は
凍り付いたような
表情で僕を見つめ
抱きしめてきた

声は
聞こえなかったけど

多分
泣いていたと思う

身体を振るわせて
嗚咽を堪えていた

なぜ
こんなことをするのか
急すぎて
全く
意味が分からなかった

僕はただ
黙って

藤沢の腕の中で
じっと息を潜めていた

そして
これが
藤沢との
最後の思い出となった

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