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美しい狼~その牙で骨まで食べ尽くされたい~

第10章 母性愛?

その歌声が
あまりにも優しくて
胸が切なさで締め付けられた

母親って
こんな感じなのだろうか......

母親が恋しくて恋しくて
堪らなくなった

気づけば
自然と目を閉じていて

そして本当に
赤ん坊に戻ったように
手でお乳を出すようにして
乳首に吸い付いていた

おっぱいなんて
出やしないのに
夢中で
吸い出していた

その間中
夏目は
子守歌を歌い
背中をさすったり
髪を梳いたり

本物の
母親のようだった

これが
母親の温もりなんだ
無償の愛に包まれる安心感
絶対的な存在

俺は
いつの間にか泣いていた

夏目の前では
涙腺が決壊する

あぁ、なんて
甘美な時間なんだろう。

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