
狼からの招待状
第1章 幻都
床に飛び散った汗を、モップで拭いているトレーナーに礼を云い、シャワー室に向かう。
……熱い霧のような湯気…高い処からのシャワーの湯…頭からかぶりながら、腕を擦る─くっきりと、発達した筋肉が盛り上がる。
短いブラウンの髪を洗うと、背中に固い岩石のような瘤が出来る。
背中から、締まった臀部に絡みつく幾多の視線…(軍隊生活、思い出す)荒い滝のように迸る熱い湯に打たれながら、ユノは苦笑いする。
ロッカー・ルームに入ると、縮れ毛の黒人青年が、着替えをしている。 スポーツバックを肩に掛け、受付の机でパソコンに向かっている事務員の男性に、挨拶をして外に出た。
日射しが秋の終わりにしては強い。キャップを被ろうとバックのファスナーに指先を掛け─横っ腹を蹴られた。
前のめりになった躰を後ろから、突飛ばされる。
振り向こうとすると、首にナイフが押し当てられた。「バボジャ!(馬鹿者)」…麦藁帽子が飛んだ。
「あ、兄貴─」小柄な少年が、帽子を拾って道の真ん中に立っている、若い男に駆け寄る。
……熱い霧のような湯気…高い処からのシャワーの湯…頭からかぶりながら、腕を擦る─くっきりと、発達した筋肉が盛り上がる。
短いブラウンの髪を洗うと、背中に固い岩石のような瘤が出来る。
背中から、締まった臀部に絡みつく幾多の視線…(軍隊生活、思い出す)荒い滝のように迸る熱い湯に打たれながら、ユノは苦笑いする。
ロッカー・ルームに入ると、縮れ毛の黒人青年が、着替えをしている。 スポーツバックを肩に掛け、受付の机でパソコンに向かっている事務員の男性に、挨拶をして外に出た。
日射しが秋の終わりにしては強い。キャップを被ろうとバックのファスナーに指先を掛け─横っ腹を蹴られた。
前のめりになった躰を後ろから、突飛ばされる。
振り向こうとすると、首にナイフが押し当てられた。「バボジャ!(馬鹿者)」…麦藁帽子が飛んだ。
「あ、兄貴─」小柄な少年が、帽子を拾って道の真ん中に立っている、若い男に駆け寄る。
