
狼からの招待状
第1章 幻都
小さい唇を引き結んだ横顔に、「仕事もあるだろ。…入院して、婚約者もいる。事故はあいつの運転ミス─」「シウォン」椅子から離れ、「チャンミンじゃない、運転は婚約者…そんなこと─どうでもいい…。けど…」不意に顔を背け、ユノは高層ホテルの展望レストランを、走り出た。
熱いシャワー音の向こうから、機械音が漏れ聴こえる。バスルームを出て、執拗に鳴り続けるスマホをとった。
(ユノ)シウォンからだった。「…昨夜は、ご免」(それより─おばさん。退院して家で療養してる)「お大事に…伝えて…」(あぁ。─いとこの兄さんが、来週あたり…行く予定もあるらしい)「こっちに?」空港の搭乗アナウンス、…旅立ちの潮騒に似たざわめき─(そう。従兄さんに任せて帰国したら)「うん…。午後、侍従のキム氏に云うよ」(電話くれよ、ユノ兄さん)「気をつけて。シウォナ…」スマホの蒼い画面に、熱い滴が落ちる。
風が冷たく、衿もとを撫でて、からからと乾いた枯れ葉を、追い散らす。
書店の重いガラスドアを開け、路地の見える窓際に寄る。
熱いシャワー音の向こうから、機械音が漏れ聴こえる。バスルームを出て、執拗に鳴り続けるスマホをとった。
(ユノ)シウォンからだった。「…昨夜は、ご免」(それより─おばさん。退院して家で療養してる)「お大事に…伝えて…」(あぁ。─いとこの兄さんが、来週あたり…行く予定もあるらしい)「こっちに?」空港の搭乗アナウンス、…旅立ちの潮騒に似たざわめき─(そう。従兄さんに任せて帰国したら)「うん…。午後、侍従のキム氏に云うよ」(電話くれよ、ユノ兄さん)「気をつけて。シウォナ…」スマホの蒼い画面に、熱い滴が落ちる。
風が冷たく、衿もとを撫でて、からからと乾いた枯れ葉を、追い散らす。
書店の重いガラスドアを開け、路地の見える窓際に寄る。
