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せいぎのみかた

第2章 ミツルの正義

彼女が痴漢に遭っている時には誰も助けてくれなかったのに、手柄のためなら事実をねじ曲げた調書を取るのが法と正義を守る警察のすることか。

今までだってそうだ。
実害がないのを言い訳に悪いヤツらから市民を守ることもしない。
DV被害の女性の住居を暴力男には易々と教える。

警察にも行政にも正義なんてない。
彼女を助けてあげられたのは自分だけだとミツルは声を大にして主張した。

ミツルの声に耳を痛そうにしている警察官もいたが、警察という組織、行政が変わることはなかった。

本当に正義のために行動したミツルは、自分でも気づかないうちに正義が行き過ぎて暴走をしてしまい、女性に対するストーカー、つきまといという結果だけが残り、犯罪者となってしまった。

「ボクだけだ、彼女を守れたのはボクだけだ。ボクが痴漢を捕まえるんだ」

刑務所ではまるで何かに憑りつかれたようにミツルはその言葉を繰り返していた。

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