
邪恋の爪痕と片恋の彼
第6章 戻らない日常
「ふ――――っ、サッパリしました!あっ、コーヒーありがとうございます」
「つ――――か、俺のヨレヨレ服…キッチリ着こなしてやがるな…」
「境井さんの香りがするので、変な気持ちになりますね」
「うるせぇ~よ、早く飲んで帰れ!」
俺は、コーヒーを飲みながらテレビをつけた。
土曜日の昼過ぎ――――旅番組か二時間ドラマの再放送…
もしくは、隙間時間のニュースがやっている時間帯だ。
ニュースがあるのなら…それを――――見て…
『事故があった現場の様子は――――』
「事故?――――どこで…」
『現場の◯◯空港の様子は速報が入ってから救出された乗客の数は分からず――――。
ご覧の通り、事故があった◯◯空港では、墜落の衝撃で機体が炎上しています!
着陸に失敗した◯◯航空のハワイ→日本着の旅客機は乗員乗客あわせて……』
――――え?
◯◯空港?
ハワイ……日本――――着…
「境井さん、どうしました?」
「空港で…墜落事故だって――――…」
「は?墜落…?」
テレビの前で動かない俺を不思議に思ったのか、真壁が俺のそばに来てテレビを見る。
「――――え…機体が…燃えて…ます…よ?」
「――――あれ?野田…どこの空港だっけ…あれ?野田…何時に帰ってくるんだっけ…野田――――…あれ?10時…あれ?11時……もう、着いてるよな?」
俺は、手にしていたコーヒーカップを乱暴にテーブルに置くと…スマホを掴み――――野田に電話をかけた!
