
邪恋の爪痕と片恋の彼
第6章 戻らない日常
「境井さん――――…これ…」
コトンと、テーブルに置かれたのは…
野田からもらった……ハワイアンジュエーのネックレス…
「血がついていたから…洗いましたが……もう、あんな事――――しないでくださいね」
多分、真壁は真剣な視線を俺に向けているだろうが…
俺は、ネックレスから視線を放すことが出来ず……
真壁の言葉に返事が出来なかった。
“あんな…事…”
手のひらに鈍い痛みはあるが――――…
あんな事とは…なんだろう。
「境井さん――――…会社で待っています…」
足音が玄関に向かっていく…。
「境井さん――――…」
真壁の声が…遠く感じる…
――――ガチャン…
俺は、真壁を見送らなかった…。
