
邪恋の爪痕と片恋の彼
第6章 戻らない日常
あんなにドキドキしていた…欲の高鳴りが嘘のように…何も感じなかった。
俺が…男に激しく抱かれ――――疲れはてて寝ていた…時間に…
野田は――――死んだ。
そう、思うと……
好きだの…嫌いだの――――はたまた初恋を忘れないと…と、野田への思いを他の男で立ち切ろう――――なんて思っていた自分が…ものすごく…汚いモノに思えてきた。
「――――境井さん?」
「あ――――いや…何でもない…、一緒に…会社に行のくか?」
コーヒーと軽く焼いたトーストを出され…俺は、真壁を見上げた…。
「一緒に行きたい所ですが――――…変に勘ぐられのは嫌でしょ境井さん?
先に出ます――――…Yシャツは洗濯してアイロンかけましたし、下着や靴下はコンビニでゲットしました…自分のアパートに帰らなくてもなんとかなるもんですね!」
真壁は先に支度を済ませると、笑っていた。
「そうか――――…」
俺は、視線をテレビに戻し、土曜日の飛行機事故のニュースを追いかけた。
