
邪恋の爪痕と片恋の彼
第8章 知らない自分
“オフィス陣ヶ岡”もハウジングギャラリーに一軒住宅を展示していたから……わが社で契約してもいいのか?と、確認したくらいだ。
しかし、ミス赤羽は…
「最初に仕事の話しで声をかけてくださったのは…御社ですので…優先したまでです。息子が働いていようが……関係ありません」
マネージャーでもある父親が「仕事ですから」とドライな解答で我々の罪悪感を消してくれた。
そして、明日はその宣伝の効果がためされる日である。
「明日――――何か手伝いましょうか?」
「いえいえ、明日は展示課総出で対応するので大丈夫です!久しぶりの休日ゆっくり休んでください」
御船さんは深々と頭を下げると満面の笑みで会議室を出ていった。
