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邪恋の爪痕と片恋の彼

第8章 知らない自分


「ふぅ…」


御船さんが会議室を出ると後ろからため息が聞こえてきた。



「やっと一息だな、つかれたか?真壁」


そのため息が同席していた真壁のものと分かり、振り替えると…サッと視線を外される。


「ん?真壁?」


「いえ――――疲れてません…。境井さんの方が疲れているんじゃないですか?」


そう言うと、真壁はテーブルの上に広げられたポスターや資料を片付け始める。


「いや?――――俺は全然疲れてないぞ?」


「――――そうですか?」


そっと、立ち上がる真壁は会議室を見渡し忘れ物がないか確認して部屋を出る。


「そうだ、真壁――――…今回のギャラリー一緒に仕事が出来てよかった。お疲れ様」



真壁が会議室から出るギリギリに俺はお礼を言った。


すると、出ようとしていた体がピクッと反応し…立ち止まった。



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