
邪恋の爪痕と片恋の彼
第8章 知らない自分
昨日まで普通に動けていたのに…エネルギー補給を怠っていた事を自覚したとたんに…体に力が入らなくなっていた。
「――――…」
目の前の食事は、お粥が茶碗いっぱい…と、絶食者復帰飯としては最適。
胃に優しい食事であるが…
ふと、考えてしまう…真壁が作ってくれた…魚介のカルパッチョの味を…。
「――――おいしかったなぁ…アレ…」
「何が美味しかったんですか?」
ハッと入り口を見ると…不機嫌そうな顔のたは真壁が立っていた!
「ま…真壁……なんで…ここ?」
「いちゃ悪いですか?こう見えても…病院関係者なんで」
関係者と言っても…祖父の経営する仕事場に我が物顔で出入りするのはいかがなものかと渋い顔をすると、真壁は更に不機嫌そうな顔を俺に向けた。
