
邪恋の爪痕と片恋の彼
第8章 知らない自分
全てを後回しにして――――…
真壁すら…後回しにて…
俺は――――…
やっぱり…ズルい……よな?
「なぁ……真壁…俺は……」
うつむく真壁に手を伸ばしたが――――…
ちょうど、看護士が診察のために声をかけてきた。
「境井さん――――…診察に入れますか?あ、お粥…少しは食べられましたか?良かったぁ。じゃぁ、車イスに乗ってください、診察室まで案内しますから」
「――――あ、は…ぃ」
声をかけたことに真壁も反応をしていたが、話をする…状況ではなくなった。
俺は看護士に支えられ車イスに乗ると…病室を出た。
真壁は…その後ろを黙って着いてくる…。
