
邪恋の爪痕と片恋の彼
第9章 波
それに、薄々は母も感じているのだろう……
俺が普通じゃないと――――…言うことも。
祖父には俺の事を…話したが…
家族は言っていない。
祖父も母から病状などを聞かれていたが、その事だけは伝えずにいてくれていた。
祖父いわく…
「人は誰が好みだと普通は公言しない――――…趣味嗜好に“普通”はあり得ない…儂かてコーヒーに塩を入れて飲むのが好きじゃが…家族は知らんからな」
だ、そうだ――――…マジで知らなかった…
「コーヒーに…塩?上手いのか?」
「人それぞれじゃ、お前のソレも…そんな程度じゃ」
そう言われ――――…俺は救われた。
そう、俺たちは…
病気じゃないし、悪でもない。
――――普通なのだ。
