
邪恋の爪痕と片恋の彼
第9章 波
自分でも驚いた――――…
自然に…本当に…
自然に口から出ていた言葉だったからだ。
「あ――――…あ…え…っと…」
境井さんはなんて返事をしていいか分からないようだった。
でも、あの部屋には帰らせたくなかった。
「明日――――退院できるなら…俺の部屋に帰りましょう」
少し強引でも――――…
貴方の手を引っ張り…俺の部屋に連れて帰る――――…。
「――――分かった…」
「……///」
断られると思っていたが…すんなり“同居”?“同棲”に承諾するとは思わず…赤面してしまった。
「///…迷惑…かけるが…頼む――――」
「ええ――――…」
境井さんは“頼む”と言うと手を差し出した。
俺は、その手を握り…微笑んだ。
「境井さん……やっぱり…貴方が…好きです」
