
邪恋の爪痕と片恋の彼
第11章 思春期物語
祖父さんは…
黙って俺の話を聞いてくれた――――。
何をどう言っていいか分からないし…言葉にしてもちぐはぐで…聞き取りにくかったと思う、たが祖父さんは最後まで聞いてくれた。
最後は――――…ちゃんと伝わったか不安で泣いてしまった俺の頭を優しく撫でてくれた。
「そうか――――…それは…辛かったな…よく、一人で頑張った…」
泣き続ける俺にそう言った祖父さんの言葉に…
俺は救われた。
そして、知った――――…
俺は“普通”なんだと。
“ゲイ”は普通だと――――…祖父さんは笑いながら俺に言った。
何も汚いものじゃないし、罰を受ける対象でもなければ当たり前に生きている人間だと――――…教えてくれた。
しかも、精神科の一人の医師がゲイであると聞き俺はその人と話すこともできた。
俺は――――普通で汚いものではないのだと分かり…
初めて自由になった――――。
