
邪恋の爪痕と片恋の彼
第11章 思春期物語
と、ざっくりだが…
俺の勃起不全物語は幕を閉じるわけだが…
俺の話を真剣に聞いている境井さんの手は止まったままで…
せっかくのフレッシュトマトのナポリタンは、いい具合に冷めて食べやすい温度となっている。
「――――ほら、食べましょ?俺の青春物語…ためになりましたか?」
「青春…物語…って――――…」
「俺は、祖父さんと精神科の医師のお陰で…自由になれた。境井さんのカウンセリングをしていたのも…その医師…和津(かず)先生じゃなかったか?」
俺は、ほどよく枯れ始めた和津先生を思いだし笑った。
「あ…あぁ…和津先生だった」
あの人は他の精神科の先生とはちょっと違う…人としての魅力のある人だ――――…。
