
邪恋の爪痕と片恋の彼
第2章 ペアグラス
「と、とりあえず――――…マカロン食うか…」
いたたまれず箱にグラスを戻した俺はコーヒーを口に含んだ。
「そうだ――――…いつか、このペアグラス…一緒に捨てましょうか?」
――――捨てる…?
その言葉に…チクッと胸が痛んだ。
「いつか――――って、いつ…だよ」
「境井さんが――――野田先輩を忘れて、俺の事を好きになった時?とか?」
そう言うと…真壁は俺の指に…そっと触れた。
「――――難しいなぁ…初恋だからなぁ」
俺はその指をそっと交わし…マカロンを摘まんだ…
そして、真壁の口に放り込んだ。
「甘――――…」
「そぅ…か、甘い…か…」
苦い――――…味なら…良かったのに…
いつか…グラスを捨てられる日が来るだろうか…
そして、これより…甘く――――旨いマカロンに…俺は出会えるだろうか…。
