
邪恋の爪痕と片恋の彼
第2章 ペアグラス
「――――ふっ、なんて顔をしてるんですか?」
ハッと気がつくと、コーヒーを持った真壁が俺を見て困ったように笑う。
「もう1つ…あったよな…引き出物…」
「あ~…趣味の悪い“イニシャル入りのペアグラス”ですね。フライングして、二次会で開けてた人がいて…チラッと見えたんですけど…貰って困る引き出物ランキング、トップ3に入る代物です」
「そこまで――――ひどくないだろ?」
「貴方も昨日の“最悪”って言ってたじゃないですか」
――――そうだっただろうか…忘れた。
「開けてみましょうか?」
「そ、そうだな……」
俺と真壁は各々貰ったペアグラスの箱を一緒に開けた。
「――――最悪…」
「・・・・・・」
ペアグラスは、可愛らしい感じの小さめのグラスだったが…
新郎新婦のイニシャルがデカデカと書かれ…その対極面には結婚式の日付と“HappyWedding”の文字がガラス越しに二人を包む様に描かれていた。
「野田先輩って…頭お花畑の人でしたっけ?」
「ど――――…どうだろう…」
流石に…マカロンもこのグラスも野田の趣味ではないと思いたい。
