
邪恋の爪痕と片恋の彼
第3章 初恋の芽
しかし、一度気になると――――…気になるのが…人というもの。
目の保養に野田先輩を見るついでに、境井さんを見る事が多くなり――――…数ヵ月後には…
境井さんを目で追うことが増え…野田先輩を見ることはなくなっていた。
――――おかしいなぁ…境井さんは…全くタイプじゃないのに…。
と、自分でも不思議に思うほど。
しかし、境井さんは仕事はそつなく出来るし書類作りも、会議の準備もそこそこ上手い。
外回りだって段取りよく回れる。
――――お?意外に…出来る男だった?
なんて生意気な見方なんかもして…俺の中で境井 満帆と言う人間がどんどん刷り込まれていった。
しかし、いまだに【夢】の中にいる境井さんは…野田先輩の方しか見ておらず…
俺が境井さんを見ている……なんて、微塵も気がつきやしない。
――――ゲイアンテナ…壊れてんのか?
いや…そもそも――――あの人は…自分がゲイである事も分かっていないかもしれない。
――――たまにいるんだよ…女性関係充実してしちゃって気がつかないタイプ…
