
邪恋の爪痕と片恋の彼
第4章 日常訓練
「意外な一面で俺的にはラッキー…って感じですけどね」
真壁は満足げに笑うと「さっ、仕事に戻りましょう」と、歩きだす。
――――ったく……なにがラッキーだ…
真壁の後ろ姿に眉を寄せるも――――…そこが会社だと思うと…なんだか自分の考えがバカバカしく思えてくる。
「仕事に…集中しよう」
切り替え背筋を伸ばし…歩き出す。
これでいい…
これでいいんだ――――…
頭を仕事でいっぱいにして…
通常に…
生きないと――――…。
手のひらを見て…俺は、何かを握りつぶした。
何かは――――…分からないが…。
