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ブラコンですが、なにか?

第5章 Cute little brother Kazunari②

「智にぃ、10時から打ち合わせだから遅れないようにね」

「おう、わかった」

「雅紀にぃ、戸締りしっかりね。レポート、忘れちゃダメだよ」

「りょ~か~い」

リビングにいる2人に声をかけると、バタバタと玄関へと走ってくる。

「潤、タオル忘れてる!」

タオルを差し出した手をグッと引っ張って、ギュッと抱きしめた。

「ありがとう……和也」

吐息交じりに耳元で囁くと、プルっと俺の腕の中で身体が震えた。


あー、マジで学校行きたくねぇ。


「ちょっ…と、離して」

「いーや」

逃げようとする和也をさらにギューッと抱きしめる。

「おい、早く学校に行けぇー!」

ひょこっと顔を覗かせた智にぃの怒号が聞こえた。

「行ってきまーす」

「ちょっと潤、待ってよ!行ってきまーす」

抱きしめていた腕を解き、逃げる様に家を出ると和也も俺の後を追いかけてきた。


ここから少しの時間だけど……和也と2人だけの時間。


「顔、赤いよ?」

「潤を追いかけて走ったから!」

必死に否定しながらパタパタと手で顔を扇ぐ和也もまた可愛い。


それが俺たちの前ならいいんだけど、どこでもその可愛さを振りまいてしまう。

その上、それが無自覚だから厄介だ。


「おはよー、カズ」

「あ、おはよー」

ニコッと挨拶を返す和也。


それだよ、それ。

適当に返せばいいのに、ちゃんと目を見ちゃってさ。


コイツが和也の可愛さに気がついて、惚れたらどうすんだよ。


「和也」

「ん、なに?」

こっちを向くと、コテって首を傾げて見せる。


可愛いなぁ……じゃねぇ!


ホント、学校では和也への心配が尽きない。

まぁ、それはにぃ達も同じなんだけどね。


だから俺へのプレッシャーが半端ない。

雅にぃが高校を卒業した今、和也を守れるのは俺しかいない。

『もし和也に何かあったら……』と始業式で俺を囲んで見下ろすにぃ達の顔は、今思い出しても震える怖さだ。

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