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ブラコンですが、なにか?

第5章 Cute little brother Kazunari②

明るかった空も日が暮れて周辺が暗くなった頃、ようやく部活が終わった。

「ごめん、遅くなった」

ベンチに座って、スマホゲームをしている和也の背後から声をかけた。

「もー、晩ご飯……どうすんの?」

振り返って俺を見上げる和也は少し拗ね気味で頬を膨らませている。

「帰りにでも何か買って帰ろうぜ」

「まぁ、今からじゃ遅くなっちゃうし……」

「たまには息抜きしたって罰当たんないって」


家事全般は和也に任せっきり。

別に嫌々しているってわけじゃないんだけど、食事や洗濯は毎日の事だから休む暇が無い。

だからこうやって俺のワガママで和也を休ませてあげたい。


それはにぃ達も同じだ。


「そうだね。ありがとう……潤」

「あー、腹減った。早く帰ろーぜ」

ストレートな感謝の言葉にちょっと照れくさくって、俺は先に校門へと歩き出すと、和也が小走りで追いかけてきた。

「何、買って帰る?」

「ピザとかいいんじゃない?あー、炭酸飲みてぇ」

「家に無かったから、それも買って帰ろっか」


「あっ、あの!」

スマホで何を注文しようか和也と見ていると、女の子の声が聞こえて振り返った。

「これ……受け取って下さい!」

誰かもわからない女の子が俺に封筒を差し出した。


でも……封筒が何を意味するのかはわかる。


「俺……先、行ってるね」

不安げな声になっている事に気づかないわけない。

「大丈夫」

そう声をかけると俺は封筒を受け取り、手紙をサッと読んだ。


どうやら後輩らしい。

そして手紙の内容も予想通り。


「気持ちは嬉しいけど、俺……大切な人がいるんだ。だから……ごめん」

俺は手紙を封筒に戻して、女の子に返した。

「…えっ?」

「これ持ってたら、悲しむから……じゃね」

俺は何事も無かったように歩き出す。


俺を想ってる子に対して酷い事をしてるかもしれない。

この対応で悪評が立つなら、それはそれで構わない。


まぁ、今までそんな事なかったけどな。


「あの…さ」

何か言いたげな和也。


なーんも気にしなくていいんだよ。


「早く……帰ろ」

誰もいない薄暗い歩道。

和也の手をギュッと握って、俺たちは歩いた。

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