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ブラコンですが、なにか?

第7章 Cute little brother Kazunari④

音を立てない様に鍵を回して、ドアを開ける。


今日は取引先との食事があって帰りが遅くなってしまった。

妙に気に入られていて『最後まで付き合え』と、上司からお達しもあって無下には出来ない。


あの人、お酒が入ると絡んできて面倒くさいんだよな……


あれ?

誰かまだ、起きてるのか?


暗い廊下の電気をつけようとしたら、その先のリビングの灯りが漏れて見えた。

「ただ…い…」

小さな声で帰宅を伝えてみたけど、途中で声を止めた。


そこにはテーブルに突っ伏して寝ている和也の姿。


「ふふっ、かーわいいなぁ」

あどけない寝顔に一気に疲れも吹っ飛んだ。

「和也、こんな所で寝たら……風邪ひくぞ」

「んっ…ん?」

チュッと頬にキスを落とし、耳元で囁くとゆっくりと瞼が開いた。

「え?あ…お帰り、翔…にぃ」

身体を起こすと、目を擦りながら俺を帰りを迎えてくれた。


寝ぼけて、ちょっと舌足らずな和也もまた可愛い。


「だだいま、和也」

サラサラな髪を優しく撫でると、それが嬉しいのか気持ちいいのか、目を細めるて受け入れる。


珍しいな。

なんか……甘えてきているみたいだ。


「どうした?なんか……あったのか?」

「ううん、何にも」

ニコッと笑って答えたから、それ以上は何も聞かなかった。


理由は雅紀と潤からLINEが来て知っていた。

もしまだ話したいと思うなら聞いてやろうと思っていたけど、和也の中で解決したというか……たぶん吹っ切れたんだろう。


まぁ、これからも和也の心配は尽きないんだろうな。


潤はもちろんの事、雅紀もあの明るいキャラでモテる。

智にぃも癒し系の雰囲気と作り出される芸術品に惹かれる人も多い。

俺自身も営業先の受付の人から、ほぼほぼ連作先を渡される。


でもそれ以上に俺らは和也の事が心配だ。


ホント……無防備にあちこち可愛さを振りまく。

毎日、ハラハラドキドキしかしないぞ。

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