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ブラコンですが、なにか?

第12章 Holiday of Kazunari①

「和也、準備できたか?」

久しぶりに外出用の服を着た智にぃがリビングに来た。

「ちょっと待って。この洗濯畳んでから……」

「あー、もう今日はするなって言っただろ」

「だって……」

俺の目線の先のある物体を智にぃも見た。

「うっ……それで終わりだからな」

「そこはするなって押し通してよ!」

隣で必死で洗濯物を畳んでいる翔にぃ。

その前には畳んだとは到底思えない、無惨な洋服が重ねられている。


どうやったら、ここまでくしゃくしゃに畳めるんだろうか。


「こっちは俺がやるから……これ畳んで!」

「うぐっ!」

バスタオルの束を押し付けた。

「智にぃ、テーブルの飲み物どうするの?飲まないんだったら洗うから」

洗い物をしている雅にぃが、泡だらけの手で叫ぶ。

「あっ、悪い!」

グイッと飲み干すと雅にぃの所へ持っていく。

「うわっ、泡が目に入った!痛いぃぃ」

「何やってんだよ……」

タオルで智にぃが目を拭いている。

「もぉぉぉぉ!翔にぃの部屋、物がありすぎて掃除出来ないんだけど!どうやったらあんなに散らかるの!」

掃除機をガラガラと引っ張りながら、潤がリビングに来た。

「わかってたらあんなに散らからない」

完全に開き直ってる翔にぃ。

「洗濯物を畳まないなら、部屋の掃除手伝って!」

「嫌だ!洗濯物を畳む方がマシだぁ~」

抵抗むなしく潤に捕まって部屋に連行されていった。


いつも俺がしている家事全般を、今日はみんなが手分けしてしてくれている。


『明日1日、和也を休ませる!』

昨日、晩御飯を食べ終わると智にぃが高らかにみんなに宣言した。


で、その宣言をした智にぃと今から外出する。


もちろん一緒に外出することに異論は噴出したが、『これも和也を休ませる為だ』と言って押し切っていた。


「和也、俺も手伝うよ」

俺の前に智にぃも座り、鼻歌交じりで洗濯物を畳んでいく。


そんな機嫌の良い智にぃを見て、俺も洗濯物を畳む手を早めた。

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