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ここから始まる物語

第10章 裏切り者

 ――と、そこまで考えたところで、ピスティはぶるぶると頭を振りました。
 何を考えていたのでしょう。大切な仲間を、役に立つとか立たないとか・・・・・・。それに民衆を殺すなんてとんでもない話です。もしも民衆から信頼されなくなってしまったら、さっきのフォビスのように、石を投げられて殺されてしまうかもしれないのです。
 ピスティは、両手でぱんぱんと頬を叩きました。
「みんな、ありがとう! この国は、僕が必ずいい国にするよ! みんなが幸せになれるような国にする! 約束するよ!」
 その言葉に、民衆の歓声は天を揺らすほどに響き渡ったのでした。
 が、ピスティには隠しごとがあります。
 他でもありません。戦争を引き起こした張本人が、自分である、ということです。
 ゲンの言葉が、不意に蘇ってきました。

 責任をお感じなのであれば、まずは王になることです――。
 王になってあらためて民意を問うのです――。
 得られた民意からは決して逃げぬこと――。

 そう、王になったのは、自分の罪を民衆に問うためだったのです。しかし、今、民衆はこれだけ湧き上がっているのです。この中で、自分の犯した罪を正直に告白するだけの勇気を、ピスティは持つことはできませんでした。
 結局、ピスティは自分の罪を告白することなく、正式にアウィーコート王国の王についたのです。いや、ついてしまったのです。

 ※

 仲間の知恵と力のおかげで、ピスティはとうとう王になることができたのでした。
 しかし、戦争を起こすきっかけを作ってしまった罪は、まだ隠したままです。
 さらに、ピスティはまだ十四歳です。
 はたして、上手に国を治めることはできるのでしょうか?

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