ここから始まる物語
第12章 罠からの脱出
「もう手遅れよ」
とコーリーは答えました。
「レナをどうするつもりだ!」
「王さま」
コーリーは、意外にも、その場に膝をつきました。
「王さま、あの女は生かしておいてはなりません。あの女は魔法使いです。この国を、いや、この世界を破滅に導く存在です。どうか、あの女の始末は私たちにお任せください」
「始末? 私〝たち〟? おまえはいったい何者なんだ」
爆発しそうになる怒りを飲み込んで、ピスティは問い詰めます。
「私は――」
クリシーの娘です――とコーリーは答えました。
「クリシーの?」
クリシーといえば、教会に勤めているあの僧侶の名前です。
コーリーひとりの企みではなく、教会が後ろにいるとは思ってもいないことでした。どうして教会は、このようにレナをひどく言うのでしょうか。それは知らなくてはならないことであると同時に、コーリーに訊いたところで答えてはもらえないことでした。
今は、理由を探している場合ではありません。レナを無事に助け出すことが先です。
ピスティは兵舎へ行って、寝ている兵士たちを叩き起すと、全員に向けて、レナを探し出すように命令しました。
ピスティ自身も、じっとしてはいられませんでした。
もっとレナの声をきちんと聞いてあげていられたら、レナを危険な目に遭わさずに済んだはずです。
――僕のせいだ。
ピスティは自分も軽めの鎧を身につけると、剣を携えて闇夜に沈む街の中へ飛び出していきました。
※
さて、そのころ、レナはどうしていたのでしょうか。
とコーリーは答えました。
「レナをどうするつもりだ!」
「王さま」
コーリーは、意外にも、その場に膝をつきました。
「王さま、あの女は生かしておいてはなりません。あの女は魔法使いです。この国を、いや、この世界を破滅に導く存在です。どうか、あの女の始末は私たちにお任せください」
「始末? 私〝たち〟? おまえはいったい何者なんだ」
爆発しそうになる怒りを飲み込んで、ピスティは問い詰めます。
「私は――」
クリシーの娘です――とコーリーは答えました。
「クリシーの?」
クリシーといえば、教会に勤めているあの僧侶の名前です。
コーリーひとりの企みではなく、教会が後ろにいるとは思ってもいないことでした。どうして教会は、このようにレナをひどく言うのでしょうか。それは知らなくてはならないことであると同時に、コーリーに訊いたところで答えてはもらえないことでした。
今は、理由を探している場合ではありません。レナを無事に助け出すことが先です。
ピスティは兵舎へ行って、寝ている兵士たちを叩き起すと、全員に向けて、レナを探し出すように命令しました。
ピスティ自身も、じっとしてはいられませんでした。
もっとレナの声をきちんと聞いてあげていられたら、レナを危険な目に遭わさずに済んだはずです。
――僕のせいだ。
ピスティは自分も軽めの鎧を身につけると、剣を携えて闇夜に沈む街の中へ飛び出していきました。
※
さて、そのころ、レナはどうしていたのでしょうか。