ここから始まる物語
第13章 怠惰と空虚の魂
行き場所のないレナにとって、クリシーの言葉はとてもありがたいものでした。
教会へ泊めてくれるという話ですし、ピスティとの喧嘩も仲裁してくれるというのです。
こんなに思いやりのある人がいるなんて、レナは思ってもいませんでした。
ピスティのように、自分のやったことを隠してとぼけたフリをするような不誠実な相手よりも、クリシーのような優しさを持った人と結婚した方がずっと良いのかもしれません。たとえ、相手が王さまなんかではなくても、です。
嬉しさで胸がいっぱいになったレナは、身体が軽くなったような気分で、クリシーのあとへついて教会へ向かうのでした。
教会で、罠が待ち構えているとも知らずに・・・・・・。
※
「ここへお泊まりください」
クリシーに案内されて入ったのは、協会の脇にある休憩室でした。
広くはありませんが、ベッドと窓があって、とてもさっぱりした部屋でした。
「素敵な部屋!」
レナは嬉しくなって、ついつい、ベッドに飛び込んでしまいました。ふかふかしたベッドは、レナの身体を優しく包み込んでくれました。が、その時です。
急に、クリシーの様子が変わりました。
胸の前で両手を合わせて、目を閉じたのです。
「どうしたんですか、クリシーさん」
ベッドに寝そべったまま、レナはクリシーの顔を見つめました。
クリシーは、聞き取れなくらい小さな声で何かを呟いていましたが、やがて、大きな声で言いました。
「神よ、怠惰と空虚をもたらす災厄の魂を滅ぼすために、今ここに集いたまえ」
それと同時に、粗末な金属がぶつかり合うような、がちゃがちゃという音が聞こえてきました。さらに、どことなく湿ったような、噎せ返りそうな嫌な臭いが漂ってきます。
その音と臭いに、レナは覚えがありました。
教会へ泊めてくれるという話ですし、ピスティとの喧嘩も仲裁してくれるというのです。
こんなに思いやりのある人がいるなんて、レナは思ってもいませんでした。
ピスティのように、自分のやったことを隠してとぼけたフリをするような不誠実な相手よりも、クリシーのような優しさを持った人と結婚した方がずっと良いのかもしれません。たとえ、相手が王さまなんかではなくても、です。
嬉しさで胸がいっぱいになったレナは、身体が軽くなったような気分で、クリシーのあとへついて教会へ向かうのでした。
教会で、罠が待ち構えているとも知らずに・・・・・・。
※
「ここへお泊まりください」
クリシーに案内されて入ったのは、協会の脇にある休憩室でした。
広くはありませんが、ベッドと窓があって、とてもさっぱりした部屋でした。
「素敵な部屋!」
レナは嬉しくなって、ついつい、ベッドに飛び込んでしまいました。ふかふかしたベッドは、レナの身体を優しく包み込んでくれました。が、その時です。
急に、クリシーの様子が変わりました。
胸の前で両手を合わせて、目を閉じたのです。
「どうしたんですか、クリシーさん」
ベッドに寝そべったまま、レナはクリシーの顔を見つめました。
クリシーは、聞き取れなくらい小さな声で何かを呟いていましたが、やがて、大きな声で言いました。
「神よ、怠惰と空虚をもたらす災厄の魂を滅ぼすために、今ここに集いたまえ」
それと同時に、粗末な金属がぶつかり合うような、がちゃがちゃという音が聞こえてきました。さらに、どことなく湿ったような、噎せ返りそうな嫌な臭いが漂ってきます。
その音と臭いに、レナは覚えがありました。