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ここから始まる物語

第14章 破滅の始まり

 街の中は大騒ぎになっていました。
 いなくなったレナを探すために、ピスティと兵士たちが、松明を持って駆けまわっているのです。庶民も、新しい王さまのためにと、兵士たちに混じってレナを探しまわっています。
 ライとフウとゲンも、ピスティの許へ駆けつけていました。
 ピスティが仲間と共に真っ先に向かったのは、教会でした。ピスティのもとへ来たコーリーが、自分のことを、クリシーの娘だと言っていたからです。
 クリシーといえば僧侶、僧侶ということは教会――ということで、教会へやって来たのです。
 しかし、案の定と言うべきでしょうか。教会へ来てはみたものの、レナの姿は見当たりませんでした。クリシーの姿もありません。クリシーは、きっとピスティたちがここへ来ることを予想していたのでしょう。それで姿を消したに違いありません。
 ピスティも、それほど簡単にレナが見つかるわけがないと思っていました。それで、兵士たちにもレナの行方を探るように命令したのです。その兵士たちが、今ごろ別の場所でレナを見つけてくれていたらいいのですが、まだそういう報せは届いていません。
「どこへ行ったんだ」
 教会の礼拝堂の真ん中で、ピスティは悔しがることしかできませんでした。すぐに別の場所を探すべきかもしれない、と思った矢先です。
「証拠発見」
 フウが、休憩所から顔を出しながら叫びました。
「証拠だって?」
 ピスティは、フウのいる休憩所へ駆けつけました。すると、床に、靴が片方だけ落ちているではありませんか。
「これは、レナの靴だ・・・・・・」
 ピスティは、その片方だけの靴を拾って、部屋の中を見渡しました。といっても、そう広い部屋ではありません。あるのはベッドだけ。窓もありますが、これは明り取り用でしょう。人が出入りすることはできそうにありません。といって、この部屋にはほかに出入口などありません。
 レナは、どこか別の場所へ行ってしまったのでしょう。とすれば、いくら靴がここに落ちていたからといって、レナの行方の手がかりにはなりそうにありません。

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