ここから始まる物語
第17章 究極の二択
「正体だって?」
ピスティは身を乗り出します。
「そうなの。ほら、ピスティ、覚えてないかしら。私たちが、初めてあった時のこと」
「忘れるわけがないよ。僕が崖から落ちたのを、きみが助けてくれた。魔法の力で」
「そうなんだけど、私、言ったわよね。私には――過去がないって」
「ああ、言っていたね」
ピスティは、その時のことをはっきりと思い出すことができました。暗い祠の中で、レナとどんなやり取りをしたのかを。
きみは――。
わかんない――。
記憶が、ないのかい――。
違うわ。私には、過去がないの――。
過去がない?――。
そうよ。私が生まれたのは、ついさっきのことよ、たぶんね。だから過去がないの――。
レナが自分の正体に気づいた、ということは、祠の中でレナが言っていことは、おそらく本当のことだったのでしょう。あの時は、からかわれているのだとばかり思っていましたが・・・・・・。
「教えてほしい。きみの正体について」
ピスティは言い知れぬ緊張を感じました。すごく聞きたいのに、聞いたらとんでもない後悔が襲ってくる――そんな相反する気持ちが、同時に沸きあがってきたのです。
仲間の三人も、かたずを飲んで、レナの言葉を待っているようです。
レナ自身も、話す覚悟を決めたようです。一度小さく頷くと、いよいよ自分の正体について語り始めました。
「今まで、私はいろんな人の願いを叶えてきたわよね。ピスティの願いはもちろん、今は国じゅうの人の願いを叶えているわ。でも、私自身、どうしてこんなに願いが叶えられるのかって、すごく不思議だった。もちろん魔法の力のおかげなんだけど、その魔法がどんな力なのか、本当は私もよく分かっていなかったの」
ピスティは身を乗り出します。
「そうなの。ほら、ピスティ、覚えてないかしら。私たちが、初めてあった時のこと」
「忘れるわけがないよ。僕が崖から落ちたのを、きみが助けてくれた。魔法の力で」
「そうなんだけど、私、言ったわよね。私には――過去がないって」
「ああ、言っていたね」
ピスティは、その時のことをはっきりと思い出すことができました。暗い祠の中で、レナとどんなやり取りをしたのかを。
きみは――。
わかんない――。
記憶が、ないのかい――。
違うわ。私には、過去がないの――。
過去がない?――。
そうよ。私が生まれたのは、ついさっきのことよ、たぶんね。だから過去がないの――。
レナが自分の正体に気づいた、ということは、祠の中でレナが言っていことは、おそらく本当のことだったのでしょう。あの時は、からかわれているのだとばかり思っていましたが・・・・・・。
「教えてほしい。きみの正体について」
ピスティは言い知れぬ緊張を感じました。すごく聞きたいのに、聞いたらとんでもない後悔が襲ってくる――そんな相反する気持ちが、同時に沸きあがってきたのです。
仲間の三人も、かたずを飲んで、レナの言葉を待っているようです。
レナ自身も、話す覚悟を決めたようです。一度小さく頷くと、いよいよ自分の正体について語り始めました。
「今まで、私はいろんな人の願いを叶えてきたわよね。ピスティの願いはもちろん、今は国じゅうの人の願いを叶えているわ。でも、私自身、どうしてこんなに願いが叶えられるのかって、すごく不思議だった。もちろん魔法の力のおかげなんだけど、その魔法がどんな力なのか、本当は私もよく分かっていなかったの」