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第17章 究極の二択

 フォビスは顎をさすりながら、レナに問いかけました。
「おまえ――名前はレナと言ったか。おまえ、自分が犠牲になる気でいるのか」
「そうよ。私は魔法使い。私は存在自体が悪。だから罪人として、どんな命令にでも従うわ」
「いい度胸だ」
 フォビスはレナの顎に手を添えて、顔を無理やり上向かせました。
「ふふふふ。いいだろう。ならば、そういうことでこの場は手を打っておいてやろう。――連れていけ」
 フォビスは、自分の後ろに控えるたくさんの国民に命じました。
 その命令に、何人かの者が従いました。男たちは、レナの両腕を掴んで、無理やり引き立てていきます。
「待て! レナ!」
 ピスティは後を追おうとしましたが、赤い目をした国民たちが、束になって邪魔をしてきます。ピスティは剣を振るって何人かを斬り伏せましたが、相手はあまりにも大人数です。それに相手が国民であるということもあって、とうとうレナを連れ戻すことはできませんでした。
「おまえたち、レナに少しでも傷を負わせたら、ただじゃおかないからな!」
 しかし、最後にレナはこう言い残したのでした。
「いいのよ、ピスティ。ありがとう! 私は自分で望んだんだから、これでいいの。もう私を助けようなんて思わないで!」
 国民の群れが去ったあと、最後にフォビスだけが残りました。
「いい女だ。だが残念だな。罪人とあっては罰しなければならない。それも、もっとも耐えがたい刑によってな」
 そして鼻で笑うと、フォビスも去っていきました。
 ピスティは、そんなフォビスに剣を突きつけてやろうと思いましたが、
「もう、やめるだよ」
 ライに無理やり押さえつけられて、仕返しひとつできませんでした。

 ※

 その夜のことです。

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