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ここから始まる物語

第4章 確執

 ピスティを待っていたのは、お説教の嵐でした。
 父の寝室です。
 言うまでもなく、父は国王です。でも、今はずっとベッドに横になったきりで、起きあがることもできません。病気にかかってしまっているのです。医者の話によれば、その病気は重くて、もう治ることはないだろうということでした。
 父の名はブロミア。
 ピスティは、物心がついた時から、父のブロミアが嫌いでした。大人しく従順な兄ばかりを可愛がっていたからです。
 成長するにつれて、ブロミアはさらに兄を可愛がるようになり、ピスティはさらに嫌われるようになっていきました。
 最後にまともに顔を見たのは、いつのことでしょうか。もう、そんなことも覚えていません。
 ですが、最後に見たブロミアの顔は、今でも覚えています。
 赤らんだ肌に、落ち窪んでぎょろりとした目。顔の下半分を覆う髭は真っ白で、胸元まで伸びていました。
 きっと今も、そんな顔をしているのでしょう。
 ピスティは、寝室へ入るなり、床に跪くように言われたので、顔を見る暇もなかったのです。だから、ブロミアの顔は相応するしかないのです。
 跪くピスティの頭の上を、ブロミアのしつこい説教が通り過ぎていきます。
 病気でベッドに寝ているというのに、声だけはしっかりしています。
 聞いていると、胸の中で癇癪の虫が騒ぎ出しました。

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