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ここから始まる物語

第22章 最後の戦い

【それぞれの決意】
~アビナモスの場合~

 アビナモスは、軍隊を進めていました。
 エカタバガン帝国から出発して、すでにアウィーコート王国へ入り、いくつかの村を焼いています。一度目に攻め込んできた時にも村は焼きましたが、アウィーコート王国はどんな力を秘めているのか、焼いたはずの村は、もう元の姿を取り戻しつつありました。
 見せしめに、アビナモスはそれらの村を再び焼き払って、城下街を目指して軍を進めているところです。
 何万という兵士たちに周りを守らせながら、アビナモスは馬を進めています。隣に並んで馬に乗っているのは、フォビスでした。
 この男が、アビナモスは気に入りません。
 アウィーコート王国で負け犬となってからエカタバガン帝国へ来たかと思うと、いきなり遠征軍の将軍に任じられる手前までいったのです。アビナモスが抗議して、なんとか将軍の座は奪われずに済みましたが、いつどんな裏切りをしてくるのかわかりません。
 かといって、簡単に始末できる相手でもないのです。なにしろフォビスは、皇帝からじきじきに「アビナモスの補佐をするように」と命令されているのです。皇帝の命令を背負った相手を殺してしまっては、かえってアビナモスが皇帝の怒りを買う羽目になってしまいます。
 今回の遠征は、「将軍」という身分を守るばかりではなく、フォビスに出し抜かれないように気をつけなければならないのです。そのためには、必ずアウィーコート王国を征服して、かつ、なんらかの罪をフォビスに負わせて始末してしまう必要があります。
 腹の痛くなりそうな任務です。
 そんな忌々しい思惑を隠しつつ、アビナモスはフォビスに問いかけました。

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