ここから始まる物語
第5章 対決
いよいよ儀式が始まります。
ここは兵隊が訓練をする場所です。森に囲まれた砂地で、風が吹くたびに砂埃が舞って、森の木々がざわめきます。
その砂地の真ん中に、ピスティはいました。もちろん、兄のフォビスもいます。
父のブロミアは病気だから来ていませんが、審判役の僧侶が一人います。白い法衣を着ているところをみると、くらいの高い僧侶なのでしょう。
本当なら、ここは庶民が勝手に入ってはいけない場所です。でも、今日だけは特別です。
なにしろ、この儀式で次の王様が決まるのです。庶民は見物したくて仕方がありません。それで特別に、今日だけは赦しが出ていて、たくさんの見物人が押しかけているのでした。
これから始まるのは、矢の的当てです。
剣で争うのと違って、矢は激しい動きを必要としません。だから、昨日のように、腕の弱点を突かれて負けてしまうこともないでしょう。
それに、ピスティはいつも野山を駆けまわって遊んでいます。その中で狩りもします。だから、矢には自信がありました。
でも油断はできません。ピスティは気を引き締めました。押しかけた見物人たちは、みんなお祭りに来たように大騒ぎをしていますが、気持ちを落ち着けていると、その騒ぎも気になりませんでした。
しかし審判役の僧侶が、見物人に注意を呼びかけました。
「静かにしてください! これは神聖な儀式です!」
でも見物人は、そんな注意に耳を貸しませんでした。静まるどころか、さらに興奮して声高に喚声をあげています。アウィーコート王国の人びとは、みんな陽気なのです。
僧侶は諦めたのでしょう。それ以上見物人を注意することはありませんでした。
喚声が湧き上がる中、僧侶はピスティとフォビスの二人に向かって、的当てのルールを説明しました。
ここは兵隊が訓練をする場所です。森に囲まれた砂地で、風が吹くたびに砂埃が舞って、森の木々がざわめきます。
その砂地の真ん中に、ピスティはいました。もちろん、兄のフォビスもいます。
父のブロミアは病気だから来ていませんが、審判役の僧侶が一人います。白い法衣を着ているところをみると、くらいの高い僧侶なのでしょう。
本当なら、ここは庶民が勝手に入ってはいけない場所です。でも、今日だけは特別です。
なにしろ、この儀式で次の王様が決まるのです。庶民は見物したくて仕方がありません。それで特別に、今日だけは赦しが出ていて、たくさんの見物人が押しかけているのでした。
これから始まるのは、矢の的当てです。
剣で争うのと違って、矢は激しい動きを必要としません。だから、昨日のように、腕の弱点を突かれて負けてしまうこともないでしょう。
それに、ピスティはいつも野山を駆けまわって遊んでいます。その中で狩りもします。だから、矢には自信がありました。
でも油断はできません。ピスティは気を引き締めました。押しかけた見物人たちは、みんなお祭りに来たように大騒ぎをしていますが、気持ちを落ち着けていると、その騒ぎも気になりませんでした。
しかし審判役の僧侶が、見物人に注意を呼びかけました。
「静かにしてください! これは神聖な儀式です!」
でも見物人は、そんな注意に耳を貸しませんでした。静まるどころか、さらに興奮して声高に喚声をあげています。アウィーコート王国の人びとは、みんな陽気なのです。
僧侶は諦めたのでしょう。それ以上見物人を注意することはありませんでした。
喚声が湧き上がる中、僧侶はピスティとフォビスの二人に向かって、的当てのルールを説明しました。