
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
鎧と兜の形や色を見ればわかります。
やがて、その怪しい集団の先頭に立つ男が声をあげました。
「かかれ!」
聞き覚えのある声でした。
――この声は。
が、今は記憶をたどっているような余裕はありません。
フォビスは、脇にいた兵士から弓と矢をぶん取ると、敵の先頭の男に向けて狙いを定めて素早く放ちました。
が、フォビスの放った矢は、惜しくも当たりませんでした。
矢は、敵を率いている男の鼻先をかすめたかと思うと、その向こうの木へ突き刺さったのです。
相手は、フォビスたちが近づいていることを知らなかったようです。
矢を見て、初めて気づいたらしく、敵の先頭にいる男は、素早くフォビスの方へ顔を向けました。
「貴様――」
フォビスは、つい声をもらしてしまいました。
振り向いた敵は、見覚えがあるどころか、二度と見たくもない相手だったからです。
頭の後ろで縛った、長めの金髪。白い肌。凛々しい眉。きりっと引き締まった口許。精悍でありながら、まだ幼さの残る、丸みを帯びた顔の輪郭。頬から鼻の上にかけて散らばる、茶色のそばかす。
見間違いようもありません。
まさしくそれは、憎き弟、ピスティでした。
やがて、その怪しい集団の先頭に立つ男が声をあげました。
「かかれ!」
聞き覚えのある声でした。
――この声は。
が、今は記憶をたどっているような余裕はありません。
フォビスは、脇にいた兵士から弓と矢をぶん取ると、敵の先頭の男に向けて狙いを定めて素早く放ちました。
が、フォビスの放った矢は、惜しくも当たりませんでした。
矢は、敵を率いている男の鼻先をかすめたかと思うと、その向こうの木へ突き刺さったのです。
相手は、フォビスたちが近づいていることを知らなかったようです。
矢を見て、初めて気づいたらしく、敵の先頭にいる男は、素早くフォビスの方へ顔を向けました。
「貴様――」
フォビスは、つい声をもらしてしまいました。
振り向いた敵は、見覚えがあるどころか、二度と見たくもない相手だったからです。
頭の後ろで縛った、長めの金髪。白い肌。凛々しい眉。きりっと引き締まった口許。精悍でありながら、まだ幼さの残る、丸みを帯びた顔の輪郭。頬から鼻の上にかけて散らばる、茶色のそばかす。
見間違いようもありません。
まさしくそれは、憎き弟、ピスティでした。
